
信州の秋は澄みきって青く、風の音がかすかに聞こえる静けさだった。駅前から国道141号線に接続する道路の両側の街路樹はモミジがみごとに紅葉し、正面には八ヶ岳がくっきりと見えてくる。辺りは緑のじゅうたんを思わせる牧草地と果てしなく続く高原野菜畑で、騒音の都会からは別天地だ。
小淵沢を起点として小諸までの小海線は、JRの中でも一番標高の高い所を走るローカル線で、高原列車と呼ぶにふさわしい。野辺山駅は最高所にある駅で、標高1356メートル。一つ手前の清里駅は1280メートル。JR駅標高番付の10位中九駅を小海線で占めている。それ故、小淵沢から野辺山へ至る車窓からの眺めは、実にすばらしい。
野辺山駅から南へ徒歩30分ほどの所に天文台があり、宇宙電波を観測している。八ヶ岳山麓に広がる高原は山からの下降気流によって一年中好天気に恵まれ、観測には理想的な立地だ。巨大なアンテナが立ち並び、なかでもメインのアンテナは直径が45メートルもあり、世界で5番目とか─。
この施設は国立の天文台や大学、研究機関の共同施設で、宇宙のなぞ解明へと研究が進められている。