松本電鉄はいかにもローカル線の風情がある。最終の地点の新島々駅で下車。ここからはバスで上高地に向かう。野麦街道の分岐点近くに奈川渡(なかわど)ダムは、下流の水殿(みどの)・稲核(いなこき)ダムとともに東京電力が揚水式発電のために築堤したもので、総出力は揚水式発電としては最大級の90万キロワットに及ぶとか。このダムの残土で新島々駅付近を平坦化して整地したというから、残土だけでも膨大な量である。旧駅舎や村役場なども近くに保存されている。

 堰堤を渡り、さらに地下水が豪雨のように天井から落ちてくるトンネルを抜けると上高地にでる。焼岳(やけだけ)の有史以来繰り返された噴火による膨大な溶岩堆積層と、大正元年(1912)の噴火で形成された大正池の美しい景観を左手に眺めながらほどなく進むと最終バスターミナルに到着する。新島々からバスで約80分の道のりである。

(写真右上)上高地の中心、梓川にかかる合羽橋。と(同左)バスターミナル付近の湿地池