<論>エネ官僚も再認識 「ノウブレス・オブリージ」


 老人ホームの建設をめぐる厚生省事務次官や元課長補佐への便宜供与疑惑が発覚してより、各マスコミは、官僚不祥事続発に関連した特集を組んでいる。

 11月19日の読売新聞夕刊には、「底なし官僚の醜聞」と題して、過去10年ばかりの間に発覚した主な官僚の不祥事をまとめて解説している。「不祥事などで辞職した主な官僚」と題した一覧表まで掲げており、その件数は、1988年から96年までで8件あり、ほとんど毎年一件という勘定になる。

 同記事によると、「93年に自民党の一党支配が終わり、官僚たちが相対的に発言力を増し始めるとともに、再びエリート官僚に対する過剰な接待や現金授受疑惑、政界を巻き込んだ人事抗争が次々に浮上し始めた」と分析している。

 また、翌日20日の読売新聞では、同問題に関する「デスク討論」を組んでいるが、その中で、「バブル期以降、日本全体の金銭感覚がおかしくなったことが根底の背景にあるのではないか。当時は空前の財テクばやり。これはと思う官僚ですら人前でお金のことを話すことに恥じらいをなくしていた。日本全体が金の亡者になってしまったのが、あの時代だった。あの時の感覚が後遺症になっているように思える。高貴な仕事に要求される意味のノウブレス・オブリージという言葉はもはや死語になった」という発言が気になる。

 冗談ではないといいたいが、的を射た発言であろう。「ノウブレス・オブリージ」という言葉を死語にしてはならない。

 原子力発電の立地が難航しているということで、原子力円卓会議を開いて広く国民の意見を聞こうという姿勢が見られる。これはそれなりに評価されようが、国民の信頼を得なければならないのは、原子力技術が一番ではなく、その安全性や必要性を判断する行政府の官僚であることを肝に銘じてもらいたい。なぜなら、エネルギー分野で最も「高貴な仕事」を要求されているからだ。