<論>  原子力会の反省求む  東洋町の処分場応募振り出しに


 4月22日に行われた統一地方選挙後半戦で、原子力関係者が最 も関心をもって見守ったのが、高レベル放射性廃棄物最終処分場候 補地調査開始が争点となった高知県東洋町の出直し町長選挙であっ た。

 結果は、処分場調査反対を唱えて立候補した沢山保太郎氏(63) が、処分場調査募集に応募した田嶋裕起前町長(64)を約倍の票 差で押さえて当選した。

 当選した沢山氏は、応募取り下げを表明していることから、原子 力発電環境整備機構は同町での調査実施を断念せざるを得なくなっ た。また、一方の町側も、最初の文献調査に伴う交付金も入らなく なったことで、厳しい財政運営が続くことになったという。

 同機構が処分場の公募を開始したのは2002年12月であった。 約4年半が経過して応募してきた自治体は東洋町だけだったという。 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律が公布された2000年 6月からだと、約7年が経過したことになる。

 そこで思い出されるのは、韓国の中低レベル放射性廃棄物処分場 決定プロセスにおける手際の良さである。処分場に関する特別法が 決まったのは2005年、同年には応募してきた4つの自治体で住 民投票、89.5%と最も賛成が高かった自治体に決定したのは同 年11月2日、2007年の今年にはその建設が開始され、来年に は完成するという。

 日本の高レベルと韓国の中低レベルとの違いはあるが、韓国の手 際の良さは日本も学ばなければならないだろう。それに、韓国の特 別法には、3千億ウォンの地元振興費、住民投票の義務化などが明 記されていることも、日本とは違っている。

 また、韓国の場合、国会のエネルギー委員会での議論はもちろん のこと、「公論化」を進めてきたという。「公論化」とは、国民の 間で広く、透明に議論を深めていくことだそうである。日本の場合、 国会の衆参いずれにも「エネルギー委員会」なるものは存在すらな く、原子力委員会など諮問委員会などから上がってくる国家エネル ギー政策は、せいぜい閣議決定で一人歩きしている。

 今回の東洋町の応募に際しても、原子力関係者の援護射撃が不足 していたのではないかと思える節がある。きめ細かな「根回し」も 必要不可欠だろう。それが顕著に現れたのは橋本大二郎・高知県知 事の反対表明である。

 「手続きの透明性や情報の少なさに問題があり、核へのアレルギ ーがない人も疑問を抱いたのではないか」という同知事のコメント にも、原子力関係者は謙虚に耳を傾けなければならないだろう。

           「かえるの声」第310号(2007年5月1日)