<論>  世界に誇れる省エネ技術  遅れているロ・中・印に快く提供を


 日本は世界で一番省エネ技術が進んでいると言われる。しかし、 我々一般市民は、その省エネ技術がどれくらい進んでいるのか、 明白に数字で認識しているわけではない。

 「もったいない」という言葉を昔から普及させてきた民族だか ら・・・、資源のほとんどを輸入に頼らなければならない国だか ら・・・と、漠然と考えているだけである。

 省エネ技術の進展度を測る数値は色々あるが、専門家の間で使 われている「エネルギー弾性値」というのもその一つだ。最近で は、一般の我々にも分かりやすいようにという配慮から、「国内 総生産(GDP)の1単位を生産するのに消費する一次エネルギ ーの量」という概念で使われている。

 この数値を使うと、各国間の省エネ技術の比較が一目瞭然に判 明する。GDP1単位当たりの一次エネルギーの消費量で、日本 を1とすると、アメリカは2.7、中国とインドは9.0、ロシ アにいたっては17.6となっている。

 これらの数値から各国の省エネ技術の進展度がはっきりしてく る。即ち、中国やインドは、同じ経済活動をするのに日本の9倍 ものエネルギーを消費しているということになる。アメリカでも 2.7倍、ロシアにいたっては17・6倍ものエネルギーを消費 しなければ、日本と同等の生産ができないということである。

 日本の省エネ度が高いのは、おばあちゃんたちから「もったい ない」という言葉を連呼され、「爪に火を灯してきた」からとい ったレベルのものではない。

 1970年代に2度まで石油危機に見舞われた日本企業は、エ ネルギー消費の効率化に関する開発に、他のどの国より熱心に取 り組み、効果をあげてきたからである。

 例えば、製鉄所で以前は大気中に捨てていた熱を回収し、溶鉱 炉の側に新たに設置した発電機のタービンを回し、鉄を溶かすの と同時に電気をもつくり出し、かつては電力会社から買っていた 電気を、自社の工場内で賄えるようになったのである。

 日本が誇れる省エネ技術は、この製鉄業の他に、セメント業界、 家電業界、自動車業界、都市ガス業界、電力業界など、ありとあ らゆるエネルギーに関連する産業界で省エネ技術の開発に心血を 注いできたのである。

 この日本に課せられている次の課題は、ロシア、中国、インド といった省エネ技術の開発が極端に遅れている国々に日本の省エ ネ技術を提供することである。省エネ技術は日本の知的財産だが、 国際社会における日本の貢献度を考慮して快く提供すべきだろう。

             「かえるの声」第305号(2006年12月1日)