<世情寸言>−−−−−−−−−−★秋の七草
粋人に教えられた世情
せり、なずな(ペンペン草)、ごぎょう(ハハコグサ)、はこべら(ハコベ)、ほとけのざ(タビラコ)、すずな(カブ)、すずしろ(ダイコン)。まず誰もが知ってる春の7草です。
- では、秋の7草をすべてご存知でしょうか。
はぎがはな
尾花くず花
なでしこの花
おみなへし
またふじばかま
あさがほの花
- 万葉集にある山上憶良の歌です。憶良の即興的歌だそうですが、大歌人によって歌われたものですから、以来これが秋の7草になったと伝えられています。つまり、秋の7草とは、萩、尾花(すすき)、葛花、なでしこ、おみなえし(女郎花)、ふじばかま、あさがお(桔梗)、の7種類です。
- 7草の名前を知れば、それを見たくなるのが自然ではないかと考えました。しかも東京都内で見られないかと。ありました、東京都墨田区東向島にある国指定名勝史跡の「向島百花園」です。
- いまでは東京都が管理していますが、そもそも向島百花園は、文化2年(1805)、佐原菊塢(きくう)という江戸の一庶民が私財を投げ売って創設したとされています。菊塢は商人でありながら相当の粋人でもあったそうです。
- 向島百花園は、菊塢自身が「秋芳園」と別名もつけたとされ、秋草の名所として売り出そうとしたくらいで、秋の7草を見るにはうってつけの場所でした。
- ところが、出かけることになった日は、日頃の行いが悪いのか、関東地方、久方の雨。それでも園内には傘をさしながら歌を詠んでいる方、スケッチをしている方等々、ほとんどが熟年の方でしたが、粋人で賑わっていました。
- 肝心の秋の7草ですが、見られたのは萩とすすきとおみなえしくらいで、9月半ばでは大方の秋の7草の旬は、残念ながらすでに過ぎていました。花の名前とその見頃に関する知識はほとんど無知に近いことをはからずも知らされた向島百花園の初訪問でした。
- 「世情寸言」を担当してもう2年近くになりますが、世情(=世の中のようす)に何かもの申すには、浮き世の中にばかりどっぷりと浸かっていてはダメだということもたっぷりと思い知らされたのです。 (鉄)