<論> 唯一原子力が可能  原油高騰と温暖化止めるのは


 原油価格がじりじりと値を上げている。5月に入って、原油価格の指標である米国産のWTI価格がついに1バレル40ドルの大台に乗せた。これは90年の湾岸危機当時を上回り、史上最高値圏で推移しているという。

 今日の原油価格の高騰の原因は、もちろんイラクなど不安定な中東情勢のリスクによるものだが、原子力など石油に替わるエネルギーや省エネ技術の開発が期待通り進んでいないことにもよると見られている。

 石油は、車の燃料のガソリンや火力発電の重油、暖房用の灯油など、エネルギー源のエースとして重要な資源であることはいうまでもない。石油の重要性はエネルギーにとどまらず、工業品の石油化学製品としても広範囲に使われているため、原油価格の高騰は産業や消費者に幅広い影響を及ぼすことになる。

 安定した原油価格を維持するため、各方面で数々の努力がなされている。例えば、石油輸出国機構(OPEC)は、原油の高騰に歯止めをかけるため、増産の可能性を議論しているという。先進工業国では、新エネルギーや原子力を含めた石油代替エネルギーの開発に日々努力が図られている。

 エネルギー問題を考える場合、以前は、如何に安定した価格で需要に見合った量の供給が可能かどうかといった検討さえしておればよかった。しかし今では、地球環境への影響の度合いも考えなければならなくなった。

 特に温暖化ガスを排出量を最小限にするよう最善の配慮が要求されるようになった。つまり、二酸化炭素(CO2)の排出量ができるだけ少ないエネルギー源が求められるようになったのである。

 地球温暖化は、地球上の全生物の生命をも脅かす気候の変動をもたらすというやっかいな現象で、世界の専門家たちは、待ったなしで対策を講じなければならないと警告を発し続けている。この温暖化ガスの排出量を、12年までに90年比で6%減らすことを日本は約束した。しかし、現在、8%ほど増えているというから、達成するためには、この増加分を加えた14%も減らさなければならない。

 政府は、温暖化対策を全面的に見直す方針だが、CO2の排出量に応じて課税する環境税や、排出量を企業に割り当てる制度などが検討されている。しかし、いずれも大きな成果が期待できる画期的な対策ではない。

 唯一あるとするなら、原子力発電所の新設だろう。135万キロワット級の原発1基で、0.7%削減可能という試算がある。単純計算だが、14%削減に原発20基の新設で、十分可能となる。原油価格の高騰も止められる原子力を再度見直そうではないか。