消費者の立場からすれば、首都圏の停電の危機は何とか脱しただろうと思いたい。というのも、東京電力から7月18日に発表された「当面の電力需給見通しについて」と題するペーパーによると、「通常の気象条件の場合」と限定されるのだが、8月の需要予測量に供給量が追いついたのだそうだ。
同ペーパーが最初に発表されたのは5月8日だが、その時の8月の需要予測量は、同じく「通常の気象条件の場合」、供給量を500万キロワットも上回っていた。その時点は、東京電力の原発17基すべてが止まっていたのだから、当然の危機状況だったのである。
あれから2カ月半が経過して、原発も、柏崎刈羽6号機、同7号機、福島第一6号機と、原子力安全・保安院の安全確認と地元の了解が得られて、続々と運転が再開された。これら3基だけでも、381・2万キロワットもの供給力の加算なのである。
それでもなお不足分は、他電力からの融通や、火力など試運転中の発電所を前倒しで発電させたり、JRなど自家発電している所からも融通を受けるなどして、数字合わせのような苦心をして、需給差を何とかゼロにした、というところらしい。
後も、柏崎刈羽4号機が、当紙ができあがる頃には立ち上がっているだろう。他にも、詳細な検査と補修工事も終わり、いつでも運転再開できるように準備万端整っている原発が、福島第一3号機は6月12日から、福島第二1号機は6月24日から、そして福島第一5号機は7月4日からスタンバイしているのだそうである。
福島第二3号機も7月中にはスタンバイできる見通しだと言うから、これら5基のすべてが運転再開できると、486・8万キロワットの供給力の戦力復帰となる。
こうなると、「通常の気象条件の場合」の余裕ある「予備力」確保はおろか、「厳しい気象条件の場合」でも、ある程度「予備力」も確保できて、首都圏停電という危機はひとまず回避されることになる。
まあ、もう大丈夫だろうが、残された最大のネックは、地元の了解がスムーズに得られるかどうかである。
原発の安全性を確認する最高の能力と権限を有しているはずの原子力安全・保安院に対する不信感が、地元には根強く残っており、推進を取り仕切る経済産業省から、安全性を厳しく取り締まる機関の独立を希望しているという。
この要望はもっともだと思うが、その問題は秋風が吹き出してからゆっくり議論するとして、いまはスタンバイしている5基の運転再開に地元が了解することのみ切望する。