<論>原点に戻って考え  「市民の会」15周年を迎えて


 「エネルギーと暮らし・市民の会」が発足した1981年当時の日本と、あれから15年たった今日の日本とを比較してみよう。

 まず、驚くべく増大したのが国民総生産(GNP)である。つまりそのGNPが当時260兆円だったのが、540兆円くらいに膨れ ているから、過去15年間で約2倍強の伸び率であった。

 逆にほとんど伸びなかったのが日本の人口である。1億1700万人から1億2500万人だから、15年間で高々7%の伸び率であ る。日本人の平均寿命は世界一だから高齢化がどんどん進んだのだろうから、少子化現象が顕著に現れているのであろう。

 さて、問題はエネルギー関連の数値だが、まず1次エネルギーの供給量は、4千兆から5千兆kcalへの増大だから約25%の伸び 率である。人口があまり伸びないのにエネルギーが25%とはいえ上がっているということは、日本人1人当たりのエネルギー消費量が 当然増加しているということである。

 しかし、それでも、GNPを2倍以上伸ばしている国がエネルギー全体の伸び率を25%に抑えたということは、省エネ効果を相当上 げたことになる。

 エネルギー全体では省エネがこの15年間で相当進み、消費を抑えることができたが、電力だけは群を抜いて増大しているのが特徴で ある。15年前の総発電量は5400億kW時だったのが現在のそれは8900億kW時程度だから実に65%の伸び率である。

 ここでも、GNPの100%を大きく下回る65%ということで、日本人の消費構造はまずまずであったといえなくもない。しかし、 問題はこれだけの必要発電量に追随して発電設備の建設が順調に進んでいるかどうか、である。

 キロワットアワーではなく、キロワットでみた総発電容量だが、15年前の1億5000万kWから2億2000万kWへの増加であ るから約47%と算出される。貯めておくのがきわめて難しい電力のことだから、発電容量は消費のピークを見越してそれを上回る量を 常に確保しておかなければならないとするなら、発電容量の伸び率が発電量の伸び率を下回っていること自体、大いに気になるところで ある。

 間もなく猛暑の夏がやってくる。世間が花見に浮かれ、新緑に鋭気を養っている頃、各発電所は、夏の消費ピークに備え、定期点検や 計画点検に余念がない、最も忙しい時季なのだ。保守点検をおろそかにして真夏に故障して停止でもしようものなら、例えば、原子力発 電所1基、標準的規模110万kWが停止し、他からのバックアップがないとしたら、おおよそ100万人都市の機能が完全に麻痺して しまうことになる。

 「市民の会」15周年を迎えるにあたり、このように繰り返し原点に戻り、エネルギー問題を見つめ続けて行きたい、と改めて肝に命 じている。