動力炉・核燃料開発事業団が開発を進めている高速増殖原型炉「もんじゅ」で、昨年12月8日午後7時47分頃、液体ナトリウムが 漏れていることが確認され、原子炉は手動で停止された。専門家によると、この事故そのものは致命的なものとはいえないが、情報の伝 達など事故の後処理に問題があった。状況調査に当たっていた同事業団の職員に自殺者が出るに及び、問題は深刻になったので、本紙で も問題の核心部分を考えてみた。
「もんじゅ」からナトリウムが漏れた箇所は、二次冷却系Cループの配管部分で、配管に差し込まれた温度計の先端部分が折れ、その 細いケーブル孔からジワジワと漏れ出たとされる。
二次冷却系ナトリウムの総量760トンのうち、漏れ出た量は数トンといわれている。たとえそれが0.5%以下だとしても、水や空 気と激しく反応するナトリウムであるから、十分配慮しなければならない代物であることに変わりはない。
高速増殖炉の冷却材にナトリウムが最終的に採用が決まってから、その設計段階から、漏れない対策、万一漏れても安全に対処できる 対策がとられてきたという。その万一漏れた場合だが、ナトリウム漏えい検出器を多数設置して、早期に発見して拡大を防止する策が 施されている。また、特に一次冷却系では漏れたナトリウムが空気や水と触れさせないよう窒素ガスを充満させるようになっている。
このように安全対策は万全と判断していても、まだ開発段階の新しいタイプの原子炉である。破損した温度計は設計ミスであるか、 施工ミスであるか、まもなく判明するであろう。しかし、これ自体は設備上の不備ではあるが、公衆の安全に関わるトラブルではない ことも確かだ。巨大な技術は手直しを加えながら完成に近づけていくものだ、ということをわれわれ市民も理解しなければならない。
しかし、なぜこうまで問題が深刻になってしまったのであろう。その理由の第1は、高速炉開発の初期段階でナトリウム漏れの経験を しなかったため、同事業団は対処の仕方を十分に理解していなかったため、第2は、特に周辺住民にナトリウムの反応特性などを十分 理解させていなかったため、といわれている。
特に第2の理由によって、後処理のまずさを招いたとする意見が大勢を占めている。情報伝達の躊躇など、この典型的な事例であろう。