シェルブールから六ヶ所村へ

地球半周の安全航海確実 

 原子力発電所の原子炉の中で4、5年使われた使用済み原子燃料は、フランスのラ・アーグ再処理工場に送られ、そこでまだ使えるウランやプルトニウムと核分裂生成物、つまり高レベル放射性廃棄物とに分離されている。

 分離されたウランやプルトニウムは、また日本に返還されるのはもちろんだが、高レベル放射性廃棄物も特殊な硬化ガラスに固められ、頑丈な容器「キャニスター」に詰められ、送り返されてくる。

 今年も、1月21日、ラ・アーグ再処理工場近くのシェルブール港を出発し、大西洋を横断、パナマ運河を通って大平洋に出、一路青森県は下北半島の六ヶ所村にある日本原燃(株)の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」に、3月上旬から中旬には運び込まれる予定だ。

 写真上=ガラス固化された高レベル放射性廃棄物の頑丈な輸送容器

 はるばるフランスから地球を半周して日本まで運んでくるのは、総重量5千トン、全長104mのパシフィック・スワン号である。万一の衝突なども考え船底や船側は二重構造などが施され、法令に基づいた安全対策が講じられているという。

 廃棄物が固められたガラス固化体は、高さ1m34cm、外径43cmの円筒形、重量は490kgで、外側をステンレス鋼で密閉されている。今回はこのガラス固化体60本が返還されてくる。輸送中は、ガラス固化体20本を、全長6.6m、外径2.4m、総重量112tの炭素鋼などで造られた頑丈な輸送容器に入れられて運ばれてくる。

 写真中=船体は二重構造の放射性物質専用の輸送船

 動力炉・核燃料事業団などの一連の不祥事により、日本の原子力界は国民の信頼を失っており、原子力発電所の新規建設は暗礁に乗り上げたかに見られた。しかし、昨年12月、京都で開かれた地球温暖化防止会議で約束した温暖化ガス削減目標値を達成するためにはどうしても原子力に頼る以外ない、という気運が高まっている。しかし、原子力に対する不安が完全に拭い去られたわけではない。その不安材料の最右翼は高レベル放射性廃棄物をいかに安全に処理するか、である。

 写真左=青森県六ヶ所村の高レベル放射性廃棄物管理センター
 写真右=上のセンター内にある貯蔵ピットにガラス固化体が