
大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が現状の増加率(年1%)で増え続けると、2060年の濃度は1990年(345ppm)の2倍になると見られるいる。気象庁気象研究所では日本周辺を40H間隔という細かな網目に区分して、2060年ごろの日本の各地の1月の気候の変動を、スーパーコンピューターを使って計算し、従来できなかった精密な予測をしている。
北海道は温暖化が著しく。北部の宗谷岬付近で2.8度の上昇が見込まれる一方、九州や四国の内陸地域の上昇はその半分程度。
農業や水道に影響のある降水(雪)量は、関東地方や中部山岳地域、九州東部で0〜20ミリ程度増加するが、北陸など日本海沿岸の豪雪地帯では減少。山陰地方や四国では20〜10ミリ減少する。
農水省農業環境技術研究所によると、北海道周辺のオホーツク海に海氷が張らなくなる可能性が大きくなり、この影響で、わが国を代表する良食味米「コシヒカリ」の栽培が、現在は寒さのためできない北海道で可能となり、100年後には北海道が日本一のコメどころになるという。
だが、その一方、西日本では主食米のジャポニカ米よりもパサパサしたインディカ米が栽培に適するようになり、病虫害の分布域の拡大も心配される。生態系や健康被害、防災面などへの悪影響も出てくる。猛暑による熱中症の患者の増大や、マラリアなど熱帯性感染症の流行地域の北上にともなう危険が懸念される。
また、世界の科学者約2500人が集まった「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、海面上昇で日本の砂浜の90%が消失、高潮時に水没する危険のある地域に住む住民は410万人にのぼり、水没による被害は109兆円にのぼる――との試算を報告している。
(読売新聞 1997年12月7日より)