自然エネルギーといえば、太陽が王様であろう。再生利用可能エネルギーといわれることもあるが、太陽エネルギーは、少々人気過剰のところもある。
太陽エネルギーの利用には、熱と光の二つある。話の前提として、太陽エネルギーは、1F当たり大気圏外で1秒間1.37kW、大気を通って地上に達した時は1kWと、極めてエネルギー密度が小さい。つまり薄いエネルギーであることを頭にいれておく必要がある。
太陽熱ですぐ思いつくのは、屋根にのっけた温水器である。しかし、もうちょっとましな使い方がないかと、香川県の仁尾町に発電用実験プラントをつくった。タワーの頂上に水を入れた蒸気発生器を置き、タワーの周辺に鏡を並べて太陽光を反射させ、蒸気発生器に当てて発生した蒸気で発電しようというものだった。しかし、薄いエネルギー源であるせいでとてもコスト的に引き合わず、あえなくダウン。現在、太陽エネルギー利用の中心は、太陽光に向けられている。
太陽光の利用となれば、太陽電池である。太陽電池の原理は、あのアインシュタインがノーベル物理学賞をもらった時の理由の一つである「光電効果」である。現在使われているのは、コンピュータの米といわれる半導体と同じシリコンが使われている。
シリコン半導体にリンなどの不純物をほんの少し混ぜると、P型とN型の性質の違う半導体ができる。このP型とN型の半導体を張り合わせて、P型の方に太陽光線の中の光子が当たると電子がたたき出され、N型の方に移ってしまう。それで、P型とN型を電線でつなぐと直流電流が流れるという仕組みだ。このP型に光子が当たると電子がたたき出される、というのが光電効果である。
問題は、値段だ。現在、東京の秋葉原などで売っている太陽電池のセルは、ワット当たりで、800〜1000円ぐらいらしい。太陽電池も手がけている新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が研究用太陽電池セルをメーカーから買う時は、利益、輸送費抜きで、650円という話もある。
もちろん、電卓などの電源は乾電池並の大きさでよい。この値段、太陽エネルギーからどのくらい電気に変わるか、という変換効率が高くなれば、当然、ワット当たりの値段も安くなる。現在、市販されているものは、変換効率は12%ぐらいのようだ。これでは、価格的に、一般の家庭の屋根に片っ端から太陽電池が出現するというわけにはいかない。
NEDOでは、92年4月、変換効率を17.1%を達成しているが、93年3月末までに18%に達成させ、その数字をとりあえずの実用化のめどとして、2000年初めころにはワット当たり100円の太陽電池を完成したいとしている。
ただ、薄い太陽エネルギーを使うことは簡単ではないし、太陽を使えばすべて解決とはいかないことを知っておくべきだろう。
(牧田 薫)