エネルギーの発生源をみると、化学現象と物理現象の2つに分けられる。化学現象の方は物を燃やすという現象だ。燃焼物体が空気中の酸素と反応(化学反応、酸化現象)して熱を出す。火力発電はこれを利用している。
一方、物理現象の方は、物質固有の性質によるもので、その1つが現在原子力発電に利用されている核分裂現象であり、もう1つが、この広大な宇宙のエネルギー源の核融合現象である。核融合は人類究極のエネルギー源だとして、日本、米国、EC(欧州共同体)、ソ連が研究に力を入れているが、思ったより難しく、一歩、一歩また一歩といった感じだが、88年から国際原子力機関(IAEA)の概念設計計画が始まり、懸命の努力が続けられている。
核融合は、ウラン235の分裂を利用する現在の原子力発電とは反対に、原子核同士を反応(融合)させてより重い原子になることで、膨大な熱が発生する。核融合は太陽のエネルギー源で、核融合を地上の太陽ともいう。
この宇宙には多くの物質が存在しており、我々の地球の自然界には92の元素が存在している。これらの物質は最も軽い元素の水素をスタートにして、次々核融合反応が起こってつくられてきた。そして、鉄をつくるまでの核融合反応は熱を出す発熱反応なのだが、鉄より重い物質をつくる核融合反応は、吸熱反応である。で、鉄より重い元素ができるのは、爆発でものすごいエネルギーが放出される超新星の誕生の場になる。
したがって、核融合は、鉄までの融合反応を利用すればよい理屈だが、融合反応を発生させるまでに使うエネルギーの問題があって、太陽でも行われている、重水素と三重水素との融合反応を利用する。ウラン235、1グラムの核分裂で石油1.8トン分のエネルギーが出るが、核融合は燃料1グラムで8トン分だ。
原子には、原子核があって、その周りを原子核内の陽子の数と同じ数の電子が回っている。核融合には、この原子核の周囲を回る電子はじゃまだ。それで、電子をハギとる。それには電極間の放電を利用すればよい。
この状態は、原子核が電子に対する支配力を失った状態であり、原子核と電子がバラバラになった状態、これがプラズマ状態。この状態になって初めて原子核同士が融合できるようになる。現在研究の主力は、重水素と三重水素の等量混合プラズマを強力な磁力でドーナツ型の真空容器の中に閉じ込めて、電気の抵抗熱、高周波加熱、高速中性粒子入射加熱で加熱して核融合を起こさせる。新たにできる原子核はヘリウムだ。
原料の1つ、三重水素はβ線を出す放射性物質で、扱いがちょっと厄介。研究はまず水素、重水素を使うことから始められている。核融合は今ごろ生まれる赤ちゃんが、実用化の恩恵に浴す巨大科学技術といえよう。
(牧田 薫)