いま世界で年間80億1300万トン(石油換算、1989年)のエネルギーが消費されている。エネルギーといっても、いろいろ種類があり、やはり、石油がトップで38.7%、次いで石炭27.8%、天然ガス21.3%、水力6.6%、原子力5.6%の順である。
国別でみるとトップは大国でしかも金持ちの国アメリカだ。世界の消費の24.6%を占める。続いてソ連17.3%、中国8.3%と大国が並ぶ。経済大国日本は5.2%で第4位である。それにカナダ、イギリス、フランスが続く。
だが各国の人口1人当たりの順序は大きく変わってくる。世界の1人当たりのエネルギー消費量は平均1.37トン(石油換算、1988年)だが、トップはカナダで7.37トン、次いでアメリカの7.01トン、オーストラリア4.86トン、ソ連4.82トン。これにサウジアラビア、西ドイツ、ベルギー、イギリス、スウェーデン、そしてやっと日本の番になる。日本の消費量は2.74トン、アメリカの39%である。
いずれも先進国であり、寒冷地のカナダ、ソ連もたっぷり使っている。これに引きかえたとえ大国でも貧しい国の1人当たり消費量は少ない。世界一の人口をかかえる中国は0.53トン、原油国イラクも0.51トンとまことに貧弱。もっと少ないのはフィリピンの0.19トン、インドの0.20トンである。これで何とかすんでいるのは、暖かいので暖房のための消費が少ないからなのだろう。
先進国は総じて人口の伸びが低く、しかも地球環境保全のためエネルギー消費抑制の動きも出てきているが、問題なのは貧しい低開発国である。人口は爆発的にふえつづけている上に、経済の近代化に努め、先進国並みの消費生活を目指している。
1979年から1989年の10年間のエネルギー消費の伸びは12億400万トンだが、アメリカ、日本など西側の主要先進国がメンバーの経済協力開発機構(OECD)の比重は14.4%、あとソ連の21.2%の他は発展途上国である。とりわけ中国が増加分の18.4%を占め、経済近代化に成功しつつある東南アジア各国の増勢も目立つ。
中国の人口は1987年で10億7000万人、2000年には12億5000万人になると予測されている。もし中国人が日本人並みにマイカーを持ちたいと言い出したらどうなるか。とてつもなくガソリン消費がふえ、つれて排気ガスがふえるだろう。しかも発展途上国は公害防除技術も遅れており、工業化がそのまま地球環境の悪化につながる。
もはやエネルギー問題も、環境問題も一国だけでは解決できず、グローバル(地球的)なものになってきた。先進国が、先進国並みの生活水準をめざす低開発国に、エネルギー消費の抑制を求めても反発を招くだけで、これが新しい南北対立をはらんでいる。人口増加をまかなうに足る窮極のエネルギー、例えば核融合が実用化されるということになれば幸いだが…。
(大谷 健)