まず、放射線を出す物質、つまり放射性物質が、なぜこの世に存在するのか、というところから説明しよう。
この放射性物質──正確には「放射性同位元素」という──は、@自然の中に元もとあったもの、A普通の物質が外部から放射線を浴びて放射性物質になったもの、B原子核が分裂か融合して放射性物質になったもの、の3つの方法によって存在しているのである。
Bの放射性物質は、放射線を大量に出すという意味から「高レベル」と呼んでクラス分けし、他の@、Aの「低レベル」放射性物質とは完全に分離して取り扱っている。「高レベル」は、「低レベル」に比べ格段に危険度は高いが、使用済み燃料の中にのみ存在していて、比較的簡単に分類しやすい。「高レベル」の方は、別のカードで述べるとして、ここでは「低レベル」に絞って見てみよう。
@は、元もと自然界に存在する放射性同位元素で、便宜的に「自然放射性物質」としているが、α線、β線、γ線といった放射線を出す物質であることには変わりない。原子力発電所の燃料に使われているウランも、自然界に存在した時から放射線を出しており、原子炉で燃やされて初めて放射性物質になったのでは、決してない。
Aは、必ずしも放射性でなかった物質に外部から放射線が当たると放射性になる物質がある。このようにして放射性物質になった物質を「放射化物質」と呼んでいる。物質によって「放射化」されやすい物質とされにくい物質とがあり、どの物質も放射線が当たると、必ず放射化されるとは限らない。
さて問題は、これらの無用になった放射性物質をどう処理・処分していくか、である。
自然放射性物質は、遥か遠くのウランなどを採掘する鉱山にのみ存在するのではなく、私たちが住んでいる周りにも、土中、水中、海水中を問わず、また人体の中にも存在している。これらは、ウラン鉱山の残りかすの始末を除いて、廃棄物として処理する必要はない。しかし放射化された物質は、いくら「低レベル」といえども、放置しておくわけにはいかない。「低レベル放射性廃棄物」としてきちんと分類され、処理されなければならない。
「低レベル放射性廃棄物」は、まずその形態から、気体、液体、固体に分類し、それぞれ違った方法で処理する。気体はフィルターを通して、粉塵等の放射性物質を取り除く。液体は、加熱して水分を蒸発させ固体に近づける。そして固体は、加熱して溶かすか、燃焼して体積を小さくして、それらをドラム缶の中にコンクリートまたはアスファルトなどで詰めて処理される。
放射性同位元素が使われる範囲が広まるにつれ、この「低レベル放射性廃棄物」の放出量は増加傾向にあって、1992年12月に搬入を開始した、青森県下北半島・六ヵ所村の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」の役割は、極めて重要である。
(水口 哲)