世界最初の社会主義国ソ連、正確には「ソビエト社会主義共和国連邦」は1991年12月8日に解体し、独立国家共同体(CIS)となった。これから脱社会主義を目指すという。一方、アジアで最初の社会主義国の中国は、社会主義の旗を堅持しているが、経済的にはソ連より早く市場経済を取り入れている。社会主義の二大国の行方はわからない。
ただいえることは両国ともにエネルギー資源大国であることだ。低水準の工業、貧しい消費生活で自国の資源を使いきれず、かなりの部分を輸出にまわしている。外国へ売れる商品を作れないので、これは貴重な外貨獲得源である。さらに東欧、北朝鮮、キューバなどに安く供給し、これらの国を社会主義圏にとどめる政治的武器に使った。
一方、国内でも安く配給した。エネルギー価格の安さは社会主義国が優れているからだといわれた。しかし安いのは補助金のせいで、このため国家財政の負担が重かった。しかも価格が安いと、つい安易に使ってしまう。このため同じ量のエネルギーを使って、ソ連は日本の半分ほどの効率しかない。
コストが引き合わないから、どうしても設備投資がおざなりになる。また作業環境が悪く、労働者の給料も安い。それに公害防止へ配慮するゆとりもない。こうしてソ連の油田は荒廃化の一途をたどり、パイプラインも劣化している。中国の炭田も、それを消費地に運ぶ鉄道、道路が不備だ。
エリツィン・ロシア共和国大統領はエネルギー価格を大幅に引き上げるが、これは消費者の反発を買うだろう。また炭鉱労働者が「身体をふくタオルをくれ、ソーセージをもっと食べたい」とストライキをおこしている。
だが両国とも地下に豊かな資源が眠っている。日、米、欧の各国はこの宝の山に目をつけ、両国への経済援助はエネルギー開発から始まろうとしている。それとともに採掘や発電所の運転、公害防止などの技術指導が緊急事となっている。またチェルノブイリのような事故でもおこされると、世界の原子力発電にマイナスとなる。中国の石炭消費による日本への酸性雨襲来の恐れもある。
(大谷 健)
| エネルギー資源の埋蔵量 | |||
| 石 油 | 天然ガス | 石 炭 | |
| 中 国 | 38億Q (2.0%) |
1.0兆G (0.1%) |
6107億トン (56.8%) |
| CIS(旧ソ連) | 91億Q (5.7%) |
45.3兆G (38.0%) |
1040億トン ( 9.7%) |
| 日 本 | ―― | ―― | 9億トン (――) |
| アメリカ | 42億Q (2.6%) |
4.7兆G (3.9%) |
1130億トン (10.5%) |
| 中 東 | 1054億Q (66.3%) |
37.5兆G (31.5%) |
(――) |
| 世界計 | 1589億Q (100.0%) |
119.1兆G (100.0%) |
10755億トン 100.0%) |
出典:Oil & Gas Journal 1990/11 第14回世界エネルギー会議