日本はエネルギー資源に乏しいといわれる中で、輸入に頼らず頑張っているのが地熱発電である。日本は火山国であり、雲仙岳や桜島のように現在噴火活動している火山以外にも、地下に岩石が融けた高温のマグマをもつ火山も多い。火山が噴火した後、再び噴火しない場合でも、地下のマグマが冷えるまでには30万年はかかるのだ。温泉は、地下のマグマに地下水が流れ込み、熱せられ、割れ目から地上へ出てきたものだ。
100℃を越す高圧の熱水を得るために、マグマ近くの熱水をボーリング孔から直接取り出し、蒸気で得られるならそのまま、熱水なら気水分離器で蒸気を発生させ、それをタービンに導いて発電するのが地熱発電だ。地熱は原子力と同様、熱の形でしか利用できない。つまり、蒸気を使って発電するか、熱を直接利用――例えば地熱では野菜などのハウス栽培、地域暖房・温水利用、原子力では地域暖房(旧ソ連)――することになる。
地熱発電は、化石燃料、水力発電などとは根本的に違うことがある。化石燃料は、石炭にしても、石油にしても太陽の恵みを受けた過去の生物の死骸が集積し、熱による変化をしてできたものだ。水力発電にしても、雨が降らなければ発電できないのだから、やはり太陽の力が必要だ。ところが、地下の放射性物質が自然に壊れる(自然崩壊)際に出る熱によってマグマができ、その熱を利用する地熱発電は地球自身のエネルギーなのである。それで地熱発電では、ボイラーは地球だから検査の義務もない。性格上大規模な電力はつくれないが、長期間一定の電力を供給する基本電力(ベースロード)型としてこれからも期待されているところだ。
地熱発電は、米国カリフォルニア、ニュージーランド、フィリピン、インドネシア、ケニアなどが、比較的開発が進んでいる地域だ。
日本では、1973年に十和田八幡平国立公園内の松川地熱発電所(東北電力など、1万kW) が初めて運転を始め、その後、大分県の阿蘇国立公園内に大岳地熱発電所(九州電力、1万2,500kW)、八丁原発電所(同、5万5,000kW)がつくられるなど、91年度末で、自家用発電も含め全国で11基、総設備容量は、27万kWまで開発されている。
通産省の調査では、全国で1億kWぐらいの潜在能力があるといわれている。しかし、その多くは国立公園内にあり、自然保護との関係、近くの温泉の湯量への影響、ヒ素などの有害物質の含有量などの問題を抱えている。有害物質の問題は還元井で地下に戻すことで解決するなど、官民一体となって開発促進に努力をしているところである。
そこで最近、従来利用されていなかった、水分に乏しい高温の岩盤に地上から水を注入、蒸気を回収して発電するという「高温岩体発電」方式が注目されている。今後2、3年でその基礎技術にメドがたつ、と大いに期待されている。
(牧田 薫)