原子力発電所の燃料といえば、すぐに思い浮かぶのはウランであるが、この燃料、石油や石炭のように、そのままお釜に放り込んで火を点けると燃え出すというしろものではない。燃料も含めた原子炉の中心部の精密な設計によって、安全な核分裂連鎖反応が可能となり、効率的にエネルギー(熱)が取り出せる。この原子炉の中心、つまり「炉心」の設計は、熱特性、機械特性、経済性、それに核物理特性の4つの側面から整合をとりつつ進められる。そして、それぞれの最適ポイントで最終設計の仕様が決まるというわけである。
熱特性からの設計は、核分裂で放出された熱をいかに効率よく取り出すかを考慮したものであり、機械特性のそれは、色々な外圧から燃料を健全に保つための強度を考慮したものである。経済性からの設計とは、いくら熱特性や機械特性がよくても、経済性が悪いものは商業用発電には採用できない、といった観点のものである。核物理特性からの設計とは、原子炉特有の理論で、核分裂連鎖反応のメカニズムを演出したもので、ウランの濃縮度、燃料棒の配列、燃料の量、といった仕様がはじき出される。
沸騰水型原子炉(BWR)の燃料は、62本の燃料棒と2本のウォーターロッド(内部は空洞)が、8×8の正方形の格子状に配列した燃料集合体を原子炉の炉心部分に、その出力に応じた数(110万kW出力の場合、764体)が装荷されている。
燃料棒は、ジルカロイ(ジルコニウム合金)の被覆管に二酸化ウランのペレットを一列に積み重ねて入れ、ヘリウムガスを加圧封入したのち、被覆管の両端を溶接密封した構造になっている。核分裂生成物が漏れ出ないための一つのバリアーの役割をもたせているのが被覆管だからである。
(水口 哲)
| BWR燃料(新型8×8) | |
燃 料 被 覆 管 |
肉 圧 約0.86@ 燃料要素(棒) 燃料集合体 |
出典:「新版原子力ハンドブック」他