減速材と冷却材とを兼備した構成要素として水を使っている「軽水炉」には、2種類の原子炉がある。燃料の入っている「炉心」部分で、冷却材が沸騰するように設計されているのを「沸騰水型原子炉(BWR)」、逆に沸騰しないように設計されているのを「加圧水型原子炉(PWR)」、と呼んでいる。
PWRの場合、通称「お釜」ともいわれる「原子炉圧力容器」の中で、冷却材は沸騰しないで熱湯のまま「蒸気発生器」にゆき、そこで別の冷却水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回転させて発電しているのである。
原子炉圧力容器と蒸気発生器との間をぐるぐる回っている水を「一次冷却水」と呼び、蒸気発生器とタービン、そして復水器との間を回っているのを「二次冷却水」と呼んでいる。一次と二次の冷却水は、蒸気発生器の中の逆U字形細管が破損しない限り、交じり合うことはない。
PWRの炉心設計は、減速材が運転中の高い温度の設定でも、気泡が混ざらない液体のみの一相であるから、BWRと比べるとうんと簡単である。ところが、PWRの運転は、BWRのように冷却材の流速を変えて運転することはできないから、制御棒の挿入・引き抜きと冷却水中へのホウ素(中性子吸収材)注入調整とを組合せて行っている。
日本では、北海道電力の泊、関西電力の美浜、高浜、大飯、四国電力の伊方、九州電力の玄海、川内、日本原子力発電(株)の敦賀2号の各原子力発電所に採用されているのがPWRである。
(水口 哲)
| 代表的なPWRの仕様 | |
| 電気出力 1,180MWe 熱出力 3,423MWt 冷却材圧力 157kg/C・g 冷却材入口温度 289℃ 冷却材出口温度 325℃ 冷却材流量 61,100t/h 炉心有効高さ 3.66m 炉心等価直径 3.37m 全ウラン装荷量 86t 燃料集合体数 193体 燃料要素配列 17×17 制御棒吸収材 銀・インジウム・ カドミウム合金 制御棒本数 53本 |
原子炉圧力容器 12.9m高× 4.39m内径 設計圧力 175kg/C・g 設計温度 343℃ 重量 406t 蒸気発生器 4台 蒸気タービン 回転数 1,800rpm 入口蒸気圧力 58.7kg/C・g 入口温度 273.9℃ 蒸気流量 6,700t/h 原子炉格納容器 全高 65m 中心線内径 43m |
このクラスのPWRが使われている発電所は、大飯3・4号、玄海3・4号