クリーンなLNGに期待

北東アジアをパイプラインで結ぶ計画も


 世界のエネルギー消費は、これからもふえ続けることは間違いない。そして当分は石油が主役をつとめるだろう。しかし21世紀を迎えるに当たって、もっと天然ガスを重視する必要があるという意見が、いま日本で高まっている。なぜ天然ガスなのか。

 まず天然ガスは埋蔵量が豊富で、しかも産地が分散している。そして価格はやや高めながら、安定している。それに地球環境問題に対する世界の関心が高まっているが、天然ガスは何とSOx(硫黄酸化物)がゼロ。CO2(二酸化炭素)の排出量は、石炭を100とすると、石油81、天然ガスは58である。つまりクリーンエネルギーなのである。

 だから日本の第一次エネルギーの10.1%は天然ガスである。しかも発電量の21.5%、都市ガスの75.8%は天然ガスが占める。すでになくてはならぬ存在となっている。

 天然ガスはどこにでもある。日本にもあるが、残念ながら日本の膨大な消費に追いつけず、輸入依存度は、93.9%だ。そして日本の輸入量は世界一である。

 ところで天然ガスは文字通りガス、気体である。天然ガスの貿易は、陸続きの国々は主としてパイプラインを通じて行われる。ヨーロッパ各国間は、旧ソ連をも含めて天然ガス・パイプラインが縦横に張りめぐらされている。しかし、島国日本はそうはいかない。

 そこで、産地でガスを-162℃の超低温で液化する。これが液化天然ガス(LNG)である。これだと体積が600分の1になる。それをLNG消費地のLNG基地へ運ぶ。ここで再び気化させ、パイプラインで需要家へ送るという仕組みである。

 LNG基地は、1965年の東京ガス・根岸基地を最初に、袖ヶ浦、知多、四日市、泉北1、2、姫路、大分、北九州、東新潟にあり、たえず専用船が出入りしている。LNGの利用は、もっぱら基地に近い大都市周辺である。だから東京、東邦(名古屋)、大阪の三大ガス会社のLNGの比重は88.3%なのに、他のガス会社のLNG比重は6.9%に過ぎない。地方ガス会社は限られた量の国産天然ガスか、液化石油ガス(LPG)を使っている。

 天然ガスをもっと普及させるには、基地から内陸部へパイプラインを張りめぐらし、広域天然ガス・ネットワークを作らねばならない。それとともに東京―名古屋―大阪の幹線パイプライン、つまり東海道新幹線のLNG版をつくる必要がある。

 日本はLNGをアラスカ、東南アジアに頼っているが、ロシア共和国の極東部やサハリンに豊富な天然ガス資源があり、日本との共同開発もやがて始まる。いずれこれを専用船で運ぶのか、それともサハリンを経由して海底パイプラインで運ぶのか、選択を迫られる。そうなれば天然ガス・ネットワークはロシア、朝鮮半島、中国を結ぶ北東アジアの国際ラインに発展する可能性がある。(数字はいずれも1990年)

(大谷 健)