<Q> 爆弾を作るのがそんなに難しいのなら、テロ行為の道具として放射性物質をそのまままき散らすという行為はどうですか。



<A> 

その可能性はありますが、そうすることは難しいでしょうし、テロ目的への価値からも疑問があるでしょう。テロ活動のために十分な量の放射性廃棄物を入手するには、重さが300トンもある輸送用キャスクの中にある使用済み燃料(または、再処理廃棄物)を盗む必要があるでしょう。こうすることは、もちろん直ちにわかってしまいますし、こうした盗みをしようとする者はすぐに追跡されることになります。

放射性物質で盗難対象となる可能性が最も高いのは、プルトニウムでしょう。プルトニウムは、その放射能が高いため、少量(0.2mgぐらい)でも有毒ですが、そのプルトニウム微粒子が体内に吸入されるか注入されなければ危険ではありません。また、体内に入っても、その効果はそれが体内に入ってから15〜45年たたなければ発生しません。ですから、プルトニウムは、テロリストが望むようなパニックを起こさせることにはなりません。

有毒化学物質の窃盗とまき散らしの方がより易しく、またテロ行為の成果を即時的に出すのにもより効果的でしょう。有毒な、化学的毒物あるいは生物的毒物は、放射性物質よりもずっと盗み出しやすくなっています。例えば、神経ガスのための処方は、機密情報扱いになっていませんし、必要な成分は入手可能です。神経ガスは、プルトニウムと同様の長期的毒性を有していますが、その効果は即効的です。ポツリヌス菌または炭そ病菌のような生物毒も、また極めて有毒であり、即効性を有しています。

最後に、テロリストは、決まって即効性のない物質は使わないものです。彼らは、通常の爆弾や火器によって引き起こされるような即効的な損害とパニックによる心理的影響を好むものです。