たしかにそのような窃盗は可能でしょうが、その行為に出る動機がなんであるかを考えてみる必要があります。基本的には次の三つの動機が考えられます。 (a)原子力の産業活動を妨害するため(もしこの行為が妨害だけにとどまるなら公衆の健康への影響はない)、 (b)他の使用目的に転用するため、 (c)公衆に危害を与えるよう故意に生態形へ投棄するため、です。これらの動機にとっては大量輸送の場合のみが対象となり得ますが、そのような大量輸送の梱包は、重量のある強大な容器を用いて行なわれており、容器の収納物を取り出すには、特別の大きな道具を必要とします。このことは、個人または、グループの能力をもってしても、その盗んだものを流用するための大きな障害となりましょう。そのうえ収納物の放射能のため、放射性物質を直接手で取り扱うときの犯人達に対する危険性は、公衆が受けるかもしれないどの危険性より何倍も高くなります。また、22トンから300トンもの重量の容器を盗んでも、それを移動させ、隠すことは非常に難しいといえましょう。
最後に、窃盗行為に引き続いて起こるかもしれない、爆破による放射性物質のまき散らしについて考えてみましょう。この可能性を評価するための実験が行なわれました。この一連の実験の結果、輸送容器を爆破によって開けるのは非常に困難である(しかし不可能ではない)ということがわかりました。
一方、そのような破壊によって放射性物質がもれたとしても人体に大きな障害をもたらすほどの事態にはなり得ない、ということもわかりました。輸送中の放射性物質の盗難と、それに関して考えられる公衆の健康への影響はまったくないとはいえないものの、窃盗が成功する確率が低いためにほとんどありえないといえましょう。