〈Q〉 産業廃棄物の毒性や、それらが人間の生活環境へどう影響するのか、などについてさまざまな議論が行なわれてきました。低レベルの放射性廃棄物は、有毒な産業廃棄物と比べてどうなのですか。



<A> 

アメリカ連邦環境保護庁では、1980年代の1年間に発生する各種の危険な廃棄物の総量を6000万トンと推定しています。このうち商業用の原子力施設から発生する廃棄物は高レベル廃棄物を含めても危険廃棄物総量の10,000分の1以下です。また低レベル廃棄物の危険性は、産業廃棄物が持っている危険性の70分の1以下と推定されています。

例えば、石炭灰は一般に危険がない廃棄物と考えられ、冬期の道路凍結防止剤としてしばしば路上に散布されていますが、低レベル廃棄物の危険性は、その発生時点では石炭灰の5倍程度、60年後には同程度であり、その後は石炭灰よりも危険性が低下します。低レベル廃棄物を60年間安全に保管する技術は、本来簡単な技術であり、すでに確立されています。

有毒といわれる科学廃棄物は、時間とともにその危険性が減少することはありませんので、永久に存在していることになります。しかし、放射性物質の危険性は時間とともに減衰して、最終的には危険性は完全に消滅してしまうのです。低レベル放射性廃棄物の処分は、必要に応じて定期的に処分場の監視を行なうことにより、何ら社会的な問題を生ずる恐れはありません。


100万kW級の軽水炉核燃料サイクルから発生する放射性廃棄物、対、同規模の火力発電、石炭燃料サイクルから発生する廃棄物の相対的毒性比較